Indonesia-Japan Forest Talk 2022 × TUATを開催しました!

2022年8月2日(火)、プログラム生のRasis Putra Ritongaさん(連合農学研究科3年)が、ご自身が設立メンバーであるインドネシア日本森林木材協会(MIDORI)と卓越大学院プログラム共催で、在日インドネシア大使館、東京農工大学、本学農学研究院のご協力のもと、「Indonesia-Japan Forest Talks (IJFT 2022)」を開催しました。

会場は東京農工大学府中キャンパス50周年記念ホールで、インドネシアの学識経験者や行政関係者をはじめ、約30~40名が参加しました。

開会の挨拶では、本学の三沢和彦教学統括副学長が、11名のインドネシア代表団の訪問を受け、日本とインドネシアの大学が、気候や森林などの課題に対する研究協力の面で、持続可能な提携関係を築く第一歩を踏み出したことに、歓迎と感謝の言葉を述べました。

続いて、ヘリ・アフマディ・インドネシア共和国大使が、IJFT2022は、食料、エネルギー、医薬品の安全保障問題にグローバルかつローカルに取り組むために、日本との研究協力関係を実現するための重要なモメンタムになると述べ、大規模な研究提携を通じた可能性を指摘しました。

基調講演では、インドネシア環境林業省・持続可能森林管理局長のアグス・ジャスティアーノ氏が、インドネシアの気候問題に対する現在の戦略から、林業その他土地利用(Forestry and Other Land Use: FOLU)によるインドネシアの温室効果ガス排出削減を目指す「FOLU Net Sink 2030」スキームの重要事項を伝えました。また、インドネシアの持続可能な森林管理の分野においては、パートナー機関との研究開発が重要であると述べられました。

次に、ムラワルマン大学森林学部長であるルディアント・アミルタ教授が、現在インドネシアが森林利用を食料、医薬品、エネルギーなど、潜在的な用途と合わせて管理することに焦点を当てていると述べ、この点においてインドネシアと日本の大学の協力が非常に必要であると強調しました。

次に、東京農工大学農学研究院長の船田良教授が、東京農工大学とインドネシアのガジャマダ大学やボゴール大学とのダブルディグリープログラムにおけるこれまでの協力関係を紹介しました。また、この連携が研究分野における新しい創造を促進しており、このIJFT2022の後、一層拡大することを期待していると述べられました。

また、農学研究院および卓越大学院プログラムの五味高志教授からは、森林や木材をグリーンインフラとして活用し、持続可能な森林経営を実現することが、気候変動問題の緩和に有効であるとの講演が行われました。

さらに重要なこととして、MIDORI会長のハンガ・プリハトゥマジャさん(京都大学大学院生)は、若手研究者とディアスポラからなるMIDORIの日本での存在が、持続可能な森林管理における研究、ビジネス、投資を含むインドネシアと日本の林業セクターの二国間協力の架け橋として、また、大使館の有効なパートナーとして機能することにより、日本の大学とインドネシアの関係者の間の協力の可能性を高めると述べました。

最後に、若手研究者によるパネルディスカッションを行い、森林・木材研究の研究とビジョンを伝えました。まず、アンドレアス・アデさん(東京大学大学院修士2年・MIDORI)は、木の病気の管理による森の健康は、持続可能な森林経営スキームにおいて見落とされがちな重要な要素であり、この研究領域をもっと検討するよう、林業者に促したいと示唆しました。佐藤龍さん(生物システム応用科学府博士2年・卓越大学院)は、インドネシア大使が言及した森林利用の3本柱である食料、エネルギー、医薬品に転換するのに有効な、森林伐採廃棄物の研究に基づく新しい技術を提案しました。また、宮田達さん(連合農学研究科博士2年・卓越大学院)は、グリーンカーボンとしての森林に加え、海からのブルーカーボンがCO2吸収剤として非常に有効であり、持続可能な森林管理はグリーンカーボン、ブルーカーボン両方を考慮する必要があるという非常に重要なメッセージを述べました。最後に、ラシス・プトラ・トランガさん(連合農学研究科博士3年・卓越大学院)は、本学で開催したIJFT2022のような幅広い関係を築くことは、気候やFOLU問題に焦点を当てた国際研究協力の構築に非常に有効であり、研究グループを結成して、ワークショップ終了後も連携を継続したい旨を強調しました。

コメンテーターの本学農学研究院・堀川祥生准教授からは、各パネリストへコメントがあり、今後の各研究の進展へのエールが送られ、またパネリスト同士の貴重なネットワークが今後も発展することを期待するメッセージが述べられました。

最後に、本学卓越大学院プログラムを運営する卓越リーダー養成機構長の大津直子教授から、地球規模の気候問題やFOLUに対処するためには、インドネシアと日本の研究協力が不可欠であり、将来の林業セクターの課題に対処するための独自のビジョンを実現するためには、若い世代の役割が重要であるという主旨のメッセージが伝えられ、イベントが締めくくられました。

関連リンク:東京農工大学ホームページでの報告ページ

https://www.tuat.ac.jp/NEWS/info/20220810_01.html